- 樹種
- キリ(H=16.0m、C=2.5m、W=5.0m)
- 樹齢
- 80年(推定)
- 症状
- 葉量が減少し、枯枝も多くなってきた。剪定後のカルスの巻込みも遅く、樹幹内の腐朽も相当程度進行している。また根元の踏圧もされ、傷みも見られる。
- 所在地
- 湯川公園(北海道江別市野幌寿町19)
- 発注者
- 江別市建設部公園緑地係
江別市は市内の私有地、公共緑地に現存する古木、巨樹を調査してその保存に積極的に取り組んでいる都市です。現在では120本が市の保存木・指定木となっており、各樹木には「指定日・所有者・大きさ」が銘記されたラベルが設置されています。今回のご依頼は上記の症状の治療として(1)枯枝の除去と防腐処理 (2)樹勢回復の為の土壌改良 (3)治療済み個所の点検と再治療でした。
樹木治療
施工時期は10月。菊地氏公園緑地係のカルテを参考に高所作業車を使って全体を点検したところ葉をつけてない枯枝があちこちに見うけられ、風で折れた枝の付け根部分からは材が柔らかいこともあり材質腐朽菌による空洞が樹幹まで達している所もあった。幹が折れた跡の最大の空洞部では自然に堆積した土と枯葉がつまり、実生のナナカマドが成長していた。
初めにこれらの異物を可能な限り除去し、殺菌剤を塗布。内部の乾燥を待って水分蒸発用に塩ビ管+雨水進入防止用エルボ付を設置後ウレタン注入。硬化した頃合をみてその部位のカルスが成長しやすいよう自然な形にウレタンを整形。その後板金パテを厚さ以上になるよう施工し、コーティング材としてラックバルサンを塗布した。枯枝を切り落とした跡は予防の為殺菌剤を塗布した健全な樹木であれば腐れは樹木自体の免疫と防御作用によりある程度以上は進行しない。
以前に治療された部分はウレタン+コーティング材だったため紫外線による劣化と鳥類による破壊が進んでいた。今回はこれを除去し内部の状態を確認しながら腐朽進行部位を再切除し、前記と同様の方法で施工・閉塞した。