エコ・シード工法とは
近年、自然環境を守ろうとする動きが広がり、次世代に優れた環境を残すことが大切となっています。開発工事等から発生する廃棄物も環境に悪影響を及ぼさぬよう、発生抑制と循環的利用が必要であり、その考えから開発されたのが「エコ・シード植生工法」です。この工法は工事現場から発生する表土スキ取り物を土・礫・笹根等に分別し、それぞれを有効な形で再利用します。スキ取り物には休眠している郷土植物の種子(埋土種子)が混在しておりそれらを有効に活用することにより、周辺環境にあった植生が可能です。また工事から発生する廃棄物量を軽減させると同時に、処理費や運搬コストの縮減を可能にする、環境に配慮した植生工法です。
工法概要
近年、自然環境を守ろうとする意識や行動が、地域・国を超えて世界中に一段と高まり、優れた環境を次の世代に残すことが私たちの責任として重く課されています。開発行為から発生する廃棄物の環境に及ぼす影響や省資源に対する取組み、また、緑化工の分野においても、外来草種による急速緑化から、周辺環境にな
じんだ郷土種を使用し、開発行為等による環境破壊・変化を出来るだけ軽減する方法が導入されています。そこで、新しい緑化工法として注目されるのが、廃棄物の有効利用や省資源、工事現場周辺の植生をより自然に近い状態で復旧しながら地域生態系の維持保全を図ろうとする植生工法です。この工法は、建設工
事等から発生する表層のスキ取り物(一般廃棄物)を土砂・草根・礫等に分別して、それぞれを有効に再利用し、その中に含まれている各種の郷土植物種子(埋土種子)を再生させて地域生態系にやさしい緑化を図ります。また、スキ取り物を資源として有効に再利用するため、工事現場から発生する廃棄物量の減少と処
理費・運搬費等のコスト縮減を兼ね備えた環境に優しく、経済性に優れた工法です。
施工手順
エコ・シード植生工の施工工程は、スキ取り物選別工程→破砕工程→基材吹付工程に大別されます。
すき取り物選別作業
現地にて10cm程度の厚さで剥ぎ取った、スキ取り物をトロンメルに投入し廃棄物(ササ・草の根・礫等)とエコ・シード客土材(埋土種子・土)とにふるい分けます。このとき、トロンメルを使用することによって、効率よくふるい分けができ、安定した品質のエコ・シード客土材を抽出する事ができます。
エコ・シードふるい分け作業機械詳細図
トロンメル設置状況
ササ、草の根等の破砕工程
すき取り物選別作業でふるい分けられたササ、草の根、礫等を分別し、ササ、ボサ等の草木の根を破砕し、エコ・シード客土材と混合し吹付に利用します。エコ・シード植生工では、植生基盤に植物の根等の破砕物(植物の繊維)を混入する事によって、植生基盤自体の緊縛力が増し、風雨や凍上による基材の流失に強い植生基盤を造成する事ができます。
破砕処理状況
ササの破砕物
エコ・シード客土材吹付
すき取り物選別作業でふるい分けられたエコ・シード客土材と、破砕作業で破砕されたササ、ボサ等の破砕物を、他の肥料・粘着材・土壌改良材等の吹付材料と配合し客土吹付機を使用し吹付作業を行います。このときの種子配合量及び使用種子は、事前に発芽試験を行いその結果によって実際の使用品種、使用量を決定します。
エコ・シード吹付作業(type-N,Q)機械詳細図
エコ・シード吹付作業(type-Y)機械詳細図
吹付作業状況
トロンメルによるふるい作業の流れ
エコ・シード客土材
抽出されたエコ・シード客土材は、他の吹付材料と配合し、植生基盤として再利用します。
建設副産物(根・礫等)
さらに根と礫を分別し、根を破砕することにより植生基盤の補強材として再利用します。
植物の根の再利用
パワーチッパー
破砕前スキ取り物(ササ)
破砕後スキ取り物(ササ)
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