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株式会社サンコー緑化は「みどりのいきもの」を取り扱う北海道の造園業者です。

TEL. 011-875-1608

〒003-0828 札幌市白石区菊水元町8条1丁目8番21号

資料

メタセコイアの移植 


風雪に耐え、長い間生き続けてきた大きな樹々はそこに生活する人々の心の原風景であり貴重な存在でした。当社はこのような樹木の移植・保存事業 にも取り組んでいます。

樹種
メタセコイア スギ科 メタセコイア属
データ
樹高13m、幹周2.07m、葉張7m、樹齢60年(推定)
発注者
穂別町
植栽地
北海道鵡川郡穂別町
移植地
同町ポケットパーク(公園)
移植理由
1. 役場庁舎完成後植樹されたものが樹木の生長にともない根系が石積擁壁を破壊しつつあること。
2. メタセコイアは別名「生きた化石」と呼ばれ、恐竜と化石で有名な穂別町にとっては太古をイメージさせる樹木でもあり、地球体験館に隣接するポケット パークのシンボルツリーとして移植したい。

1年目

根回し

H10年(1999年) 雪解け後、芽吹き前の5月中旬、翌年の移植に備え根鉢内の発根を促進させるため「根回し」を実施。生育土壌はレキ混じりの多少粘質土を含む 盛土地盤であるが特に排水性が悪いというほどではない。根鉢の大きさは直径3.3m、深さ1m。この樹木の根は柔らかく傷つきやすいため出てくる根を大事に 残しながら人力で現状土を掘り上げた。支持根は根鉢から長さ15cmで環状に剥皮し殺菌剤による防腐処置をした。剪定は細根の修復と発根を促すため行わなか った。根鉢周囲の細根には発根促進の為アミノアップ200倍液を散布。埋戻しには木質系土壌改良剤と畑土を混合した土を使用し、丸太三本支柱とワイヤー支柱 を併設して作業を完了、発根を待った。

発根調査

この年の8月は北海道も暑く、樹勢の衰退が気がかりだった。調査当日は気温27℃、微風。じっとしていても暑いが、「根回し」をしたメタセコイアの根元の木陰 の地温は18℃。発根には適温となっているのか。葉先が少し黄変している小枝が多少見受けられるが全体的に葉色、葉量とも大きくダメージを受けていないようで ひと安心。発根状況確認のため埋め戻した土を掘ってみると新しい根が出ている。環状に剥皮した支持根の根鉢付近にも発根が見られた。

2年目

H12年(2000年) 本移植実施年度。運搬する樹木の大きさを考えると道路を横断する電線・電話線、交通標識、信号機、交差点の形状、道路幅員、交通規制、 運搬時間等々実際の作業まで処理すべき問題は様々あり、直前まで発注担当部局の方々そして発生が予測される諸問題の専門の方々と手続き・打合わせを行ない ました。その結果運搬日は交通量の少ない日曜日(6月12日)の早朝に決定。この日から逆算して堀取開始日は6月8日とし準備作業に着手しました。

堀取・根巻作業

初めに根巻の支障となる石積擁壁の取壊し・撤去作業を行う。擁壁角のクラックに接していた所は根がかなりの密度で発生しており、根にとって空気がいかに必要 なものであるかを再認識させられる。掘取作業は前年「根回し」を行っていたこととバックホー(0.2m3)が使用可能になったため比較的順調に進行。発根も良好で、 仮支柱設置後は支持根を切り離し、移植先での活着促進と根鉢の乾燥防止のためアミノアップ200倍液を全体に散布。支持根の切口も防腐のため殺菌剤を塗布して から根巻作業にとりかかった。作業中断時と運搬当日までは乾燥防止のためシートで根鉢全体を被覆するとともに鉢土の状態を常にチェックして適度の潅水をおこなった。

運搬作業

運搬当日は午前3時集合。6月とはいえ周りはまだ暗く、吐く息も白く見える。この作業に携わる方々の紹介と作業内容、作業分担の説明を行なった後、午前4時作業 開始。メタルライトが点灯され、クレーンも吊り上げ体制に入る。根鉢下周りの根を切り、吊り上げを開始するが思うように揚がらない。根切りも2/3はしてあるし、 クレーンも性能的には十分なはず。時間は刻々過ぎ、空が白み始めた。やはり根の切り離しが不十分と考えトレーラーの台車にチェンブロックを装着して斜めに樹木 を倒し残った底根の切断にとりかかった。根鉢の真下にはコンクリートのガラがありその間隙をぬって予想以上に垂下根が発達していた。なんとかその根を切り離して 吊り上げ作業を再開。積込と運搬時に支障となる枝の枝折が完了して時計を見るともう午前6時。体制を整えて運搬作業を開始、30分程かかって無事目的地に到着した。

植込作業

事前に植付け予定地の土壌試験を行った結果透水性が悪かったため、滞水による根腐れが懸念された。この対策として植穴の底にホワイトロームを敷き均しさら に植穴周囲にDOパイプを6本立ち上げて水分調節と空気層の確保を計った。支柱は地下支柱(JP16)を使用。埋め戻しには畑土と土壌改良剤の混合土を使 用し、潅水しながら埋め戻した。肥料は緩効性の固形肥料を根鉢周囲に投与した。また根系切断による樹木のストレス緩和のためメネデールの樹幹注入もおこ なった。

活着調査

植栽完了後は天候を考慮しながら潅水を行った。8月の時点で小枝の枯れが散見されたが全体に樹勢は良いように思えた。新しい根も成長しておりひと安心である。

バナースペース




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